今回のコロナ禍で、国から様々の手当がなされました。
その中でも、
● 持続化給付金
● 雇用調整助成金
の申請をされる企業は多かったと思われます。
この持続化給付金と雇用調整助成金は、経理処理上、収益にとして認識する必要があります。
ここでは、その収益計上方法について確認していきます。
持続化給付金の内容と収益計上について
持続化給付金とは、
コロナ感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続や再起のために支給される給付金。
事業全般に広く使える使える給付金であるが特徴。
となります。
持続化給付金の支給対象法人ですが、
● 資本金の額又は出資の総額が10億円未満
● 資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が2000人以下
といった制限が設けられています。
持続化給付金の収益計上方法
① 収益計上時期
持続化給付金の収益計上時期ですが、「支給決定日」の属する事業年度となります。
※ 注意点
給付金の収益計上は、
あらかじめ「経費支出の補填」を目的に給付された給付金であるかどうかで、計上時期が異なります。
休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補填するため給付金は、給付原因の事実があった日の属する事業年度で収益計上することが原則です。
(法人税法基本通達2-1-42を参照)
この持続化給付金ですが、
事業の継続や再起のために支給される給付金
であり、「経費支出の補填」を目的に給付された給付金ではありません。
このため、持続化給付金は、給付原因の事実といったことを考えず、
● 「支給決定日」
に収益計上すれば良いことになります。
なお、
現実的には支給決定の通知書が届く前に、入金がなされることが多いようです。
実態としては、入金=支給が決定していると言えますので、入金時に収益計上しても問題はないようです。
② 経理処理について
一般的に「雑収入」科目で計上すればよいです。
なお、持続化給付金は、サービスの提供や商品販売等の対価として支払われるものではないため、消費税は課税対象外です。
③ 法人税の処理について
雑収入である持続化給付金は、法人税法上の益金として取り扱われます。
法人税法上は課税対象となります。
雇用調整助成金の内容と収益計上について
雇用調整助成金とは、
コロナ等により、企業が事情により事業を縮小せざる得なくなり、一時的に従業員を休業させて休業手当を支払った場合に、その手当の一部を国が補助するもの。
となります。
今回のコロナ禍を理由に、
雇用調整助成金を受けられる金額は、大企業と中小企業で異なります。
● 大企業
休業した場合の休業手当、または教育訓練を実施した場合の賃金相当額の1/2
● 中小企業※
休業した場合の休業手当、または教育訓練を実施した場合の賃金相当額の2/3
※ 中小企業とは、以下の要件に該当する企業をいいます。
・小売業(飲食店を含む): 資本金5,000 万円以下 または従業員 50 人以下
・サービス業: 資本金5,000 万円以下 または従業員 100 人以下
・卸売業: 資本金1億円以下 または従業員 100 人以下
・その他の業種: 資本金3億円以下 または従業員 300 人以下
雇用調整助成金の収益計上方法
① 収益計上時期
持続化給付金の収益計上時期ですが、
「給付の原因となる休業の事実があった日」の属ずる事業年度
に計上することになります。
この雇用調整助成金は、
● 休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補填するため給付金です。
● 給付原因の事実があった日の属する事業年度で収益計上することが原則です。
(法人税法基本通達2-1-42を参照)
これに該当するため、休業や職業訓練等を行った日の属する事業年度に、収益を計上しなければならいません。
● 入金がない場合
● 給付決定通知がない場合
には、収益を見積して計上する必要があることに注意です。
② 経理処理について
一般的に「雑収入」科目で計上すればよいです。
なお、雇用調整助成金は、補助金・助成金であるため、消費税は課税対象外です。
③ 法人税の処理について
雑収入である雇用調整助成金は、法人税法上の益金として取り扱われます。
法人税法上は課税対象となります。
※注意点
所得拡大促進税制と雇用調整助成金の関係
所得拡大促進税制を適用する場合には、この雇用調整助成金の扱いに注意が必要です。
休業手当については、所得拡大促進税制の判定の基礎である給与等に含めますが、雇用調整助成金の額は、給与等から控除しなければならないことを理解しておきましょう。
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