KAMの適用【KAMの決定プロセスを確認】

会計・税務

2021 年 3 月期の期末決算から、
監査報告書に「監査上の主要な検討事項」=KAM(Key Audit Matters)を記載することが義務づけられました。

このKAMですが、

● 監査人が、財務諸表監査の過程で監査役等と協議した事項のうち、

● 当該監査において、特に重要であると判断した事項を決定して、監査報告書に記載する

ということです。

今回は、監査において
「特に重要であると判断した事項を決定する」プロセスを確認します。

KAMの決定プロセスを確認

KAMの「特に重要であると判断した事項を決定する」プロセスですが、

① 監査役等と「重要である事項」について協議する。

② 協議の結果、「監査上特に注意を払った事項」を決定する。

③ 監査人が、「監査上特に注意を払った事項」の中から、さらに監査において「特に重要な事項」を決定する

こんな流れになります。

KAMについて、監査役がどう絡んでくるか疑問でしたが、
監査報告書に記載する重要事項について、事前に監査役と監査人が協議することが前提となっているようです。

監査役が表に出て、監査人と協議しますが、
その際には、経理部や経営者とも事前に重要事項について認識を合わせておく必要がありそうです。

また、③のKAMの特に重要な事項については、
②の監査役と監査人の協議の結果、決定された事項の中から絞り込まれます。

ただし、②で決定された事項が多くない限り、
監査役と協議した結果がそのままKAMになりそうです。

実務的には、
監査役と監査人が「監査上特に注意を払った事項」を決定した時点で、KAMが決まると思ってもよさそうです。

KAMに選ばれる、「特に重要な事項」はどんなものか?

監査人が、「監査上特に注意を払った事項」の中から、
さらに監査において「特に重要な事項」を決定します。

この「特に重要な事項」は、KAMの早期適用事例をみると、

● 固定資産の減損

● のれんの減損

● 繰延税金資産の回収可能性

といった、会計上の見積りに関する事項が多いようです。

会計上の見積りや、これから強制適用となる収益認識等の判断に関しては、財務諸表に重要な虚偽の表示をもたらす可能性のある事項として、KAMに選ばれやすいと考えてよいと思われます。

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