【間違いやすい経理実務事例】固定資産税の損金計上時期に注意

会計・税務

今回は、経理部員から良く質問される、
固定資産税の損金計上時期について解説します。

IS課長
IS課長

固定資産税の損金計上、イレギュラーな出来事が起きた場合、処理を間違う場合あります。

経理歴20年超、現在東証一部上場企業の経理課長が、間違いやすい経理実務事例を解説していきます。

固定資産税の損金計上時期に注意

固定資産税の費用計上ですが、たまにミスすることがあります。

ちょっとしたイレギュラーな出来事が、結果、税務調査などで指摘されることがあります。

実は、固定資産税の経理処理は、税務上費用となる時期が定められており、この定めに従って処理をしていないと、税務調査で指摘されますので、注意が必要です。

固定資産税の損金算入時期について

固定資産税の損金算入時期ですが、
賦課決定があった日(賦課課税方式)の属する事業年度と決められています。

具体的には、

● 納税通知書が到着した時おいて損金経理

● 納期の開始の日の属する事業年度において損金経理

● 実際に納付した日の属する事業年度において損金経理

いずれかに該当した場合、損金(費用)計上が認められます。

そして固定資産税の経理処理ですが、例えば3月決算の会社では、

● 4、5月は、月次概算計上

● 6月納付

● 6~3月月次は納付額に合わせて、実額を分割計上

こんな感じで処理されていると思います。

(納付時に一括で費用計上する場合もありますが、年間の固定資産税を毎月の費用として、分割計上している場合も多いと思われます。)

結果的に、納付額を4~3月で費用計上しているため、特に問題は起きません。

IS課長
IS課長

上記処理をする限りは、特に問題は起きませんね

固定資産税の損金算入時期が問題となる場合

通常特に問題とならない固定資産税の経理処理ですが、イレギュラーな事が起きた場合、注意が必要です。

実務上問題となる場合は、以下の3つです。

① 決算期変更等による場合

決算期の変更が発生し、
加えて、納付書が届いていないのに、概算で毎月未払計上したといった場合

こんな場合は、概算で毎月未払計上した固定資産税は、損金として認められません。

分かりにくいので、具体的事例を用いて解説しています。

●12月決算を3月決算に変更した事例
 この場合、12月に決算確定し、1~3月に3か月分の決算を確定させて決算期変更を行います。

  ● X1年6月に固定資産税を納付
  ● X1年12月決算(固定資産税は6月に納付した分を月額で分割計上)
  ● 3月決算へ変更
  ● X2年1月~3月で3か月分決算(固定資産税は1月~3月月額を概算で分割計上)

3月決算に変更した際、1月~3月で3か月分決算を実施します。
この3か月分決算で、固定資産税を毎月概算で分割計上した場合、この概算計上分が損金として認められません。

1月~3月の3か月の間に、固定資産税を納付しておらず、納税通知書も届いていないため、概算計上した分は損金として認められないことになります。

IS課長
IS課長

決算期を変更し、固定資産税を概算計上している場合、
注意してください!申告調整が必要です。

② 組織再編による場合(分割、事業譲渡)

 たまにある事例として、
 ● A社が、事業をB社分割(又は事業譲渡)
 ● A社に、移管した資産に係る固定資産税の納税通知書が届き、それを納付
 ● A社は、移管した資産に係る固定資産税を、B社に請求
 ● A社は、B社より受け取った固定資産税を雑収入計上
 ● B社は、A社へ支払った固定資産税を租税公課計上

この場合、 

 ⇒ A社が請求により受領した固定資産税は、受贈益となります。

 ⇒ B社が支払った固定資産税は、寄付金となります。

 固定資産税の納税義務者は、1月1日時点の固定資産の登記簿上の所有とされています。
 したがって、年の途中に固定資産の所有権移転が行われたとしても、固定資産の納税義務者は、移転前の所有者となります。

 このような規定があるため、事業を分割(又は事業譲渡)したA社に、固定資産税を支払う義務があるのです。

 A社が固定資産税を支払う義務があるにもかかわらず、固定資産の分割(又は事業譲渡)したという理由で、固定資産税を受け取ってしまえば、それは税務上受贈益という扱いにされてしまいます。

(反対に、B社が固定資産税を支払う義務がないのに、A社に固定資産税を支払えば、それは寄付金ということなります)

IS課長
IS課長

組織再編が絡むと結構面倒です。

 ちなみに、分割するときに事前に固定資産税分を、A社で未収入金、B社で未払金として計上しておくなどといった場合、組織再編税務上「創設債務」といった扱いとされ、適格・非適格の問題が出てきて面倒なことになりますので、要注意です!

未経過固定資産税相当額を未払金として分割承継法人に承継する場合|グローバルタックスサービス|デロイト トーマツ グループ|Deloitte
本稿では、税制適格要件のうち金銭等不交付要件を充足するという主張が可能どうか、事例に当てはめながら説明する。
IS課長
IS課長

ここでは詳細解説しませんが、組織再編の税務はいろいろと複雑です・・・

③ 中古資産取得時の固定資産税相当額の扱い

年の途中で取得した中古建物などの固定資産にかかる、固定資産税相当額の支払には注意が必要です。

実務上、不動産の売買時に、所有権移転前後で固定資産税を日数按分して、未経過部分を精算することが一般的に行われています。

中古建物などの固定資産を取得した側は、日数按分した固定資産税を「租税公課」として処理してしまうようなミスが見受けられます。

本来の処理は、

 ● 固定資産の一部(付随費用)として処理します
 ● さらには、消費税課税対象となります

このような、固定資産の取得に伴う固定資産税の精算処理は、適度に発生する案件ですので、間違いは少ないと思いますが、改めて認識しておきましょう。

IS課長
IS課長

念のため注意しておきましょう

まとめ

今回は、固定資産税の損金計上時期について解説しました。

特にイレギュラーな事例が発生していなければ、気にする必要がないのですが、

● 決算期の変更
● 組織再編(分割、事業譲渡)
● 中古資産の取得

このような事案が発生した場合、固定資産税の取り扱いを再確認してください。

IS課長
IS課長

いずれも税務に関わる案件ですので、
事前に、顧問税理士へ確認するなどしてください

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