【間違いやすい連結決算事例】債務超過の持分法適用会社の経理処理

会計・税務

今回は、

連結決算担当者から質問される、
持分法適用会社が債務超過となった場合の注意すべき点を解説します。

持分法適用会社が債務超過となった場合、
経理処理上、注意すべき点はありますか?

IS課長
IS課長

持分法適用会社が債務超過となった場合、
単体・連結それぞれで処理が異なります。

経理歴20年以上、
現在東証一部上場企業の経理課長が、間違いやすい経理実務の事例を解説していきます。

持分法適用会社が債務超過となった場合の処理

持分法適用会社が債務超過となった場合、
単体と連結でそれぞれ処理が異なるため、注意が必要です。

一般的な処理

【単体】

投資額は、

減損をして、全額、関係会社株式評価損として計上

【連結】

投資額は、

全額、持分法投資損失に含めて計上

出資者は、債務超過部分について、
特別な契約や貸付金等が存在しない限り、負担しません。

株主有限責任においては、
出資額までの責任が原則であるため、債務超過額について負担しないことになります。

債務超過額を一部または全額負担するという契約や、債務保証などをしている場合

持分法適用会社の債務超過額について、一部または全額負担するという契約等を、出資者同士で締結している場合は、処理が異なります。

また、持分法適用会社に対して、債務保証などをしている場合も同様です。

【単体】

投資額は、

減損をして、全額、関係会社株式評価損として計上

債務超過額は、

① 持分法適用会社に貸付金など債権を有していれば、当該債権額と債務超過額を比較して、いずれか少ない額まで貸倒引当金を計上

② 持分法適用会社に債務保証を行っている場合、債務保証の金額の枠内で債務保証損失引当金を計上

③ 上記①、②の引当を超えて債務超過額が残る場合、その残額を関係会社事業損失引当金として計上

【連結】

投資額は、

全額、持分法投資損失に含めて計上

債務超過額は、

① 持分法適用会社に貸付金など債権を有していれば、債権を減額し、持分法による投資損失を計上

「持分法による投資損失/貸付金」
(単体で計上した、貸倒引当金は消去します)

② 持分法適用会社に債務保証を行っている場合、債務保証の金額の枠内で、持分法による投資損失を計上(相手勘定は「持分法適用に伴う負債」)

「持分法による投資損失/持分法適用に伴う負債」
(単体で計上した、債務保証損失引当金は消去します)

③ 上記①、②の引当を超えて債務超過額が残る場合、その残額を持分法による投資損失を計上(相手勘定は「持分法適用に伴う負債」)

「持分法による投資損失/持分法適用に伴う負債」
(単体で計上した、関係会社事業損失引当金は消去します)

まとめ

持分法適用会社の債務超過は、毎回発生するものではないため、事前に会計処理を理解しておく必要があります。

出資者同士で、債務超過額を一部または全額負担するという契約等があるかないかでも処理の仕方が異なり、意外と複雑ですので、注意が必要です。

IS課長
IS課長

持分法適用会社において、債務超過が発生しそうな場合、
事前に会計処理を理解しておきましょう。

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