会社の組織再編において、
対価が発生しない「無対価吸収合併」のスキームは、
グループ組織再編で頻繁に発生します。
今回は、
無対価吸収合併とはなにか?
3種類ある無対価吸収合併の内容を解説します。
経理歴20年以上、現在東証一部上場企業の経理課長が簡単解説します。
最低限、経理担当が押さえておくべきポイントに絞って解説していきます。
無対価吸収合併とは?
無対価吸収合併とは、
対価が全く交付されない合併のことです
吸収合併は、原則として対価が発生する取引であり、通常の売買と同様に、合併で資産を承継した場合には、その対価を交付します。
その対価は、現金だったり株式だったりするわけですが、その対価が全く発生しない合併もあります。
それが、無対価吸収合併となります。
無対価の吸収合併は種類が3つある
無対価の吸収合併は種類が3つあります。
① 親会社が100%子会社を吸収合併する場合
② 100%子会社同士の合併の場合
③ 債務超過会社と合併をする場合
ここからは、3つの無対価吸収合併の内容を確認していきます。
親会社が100%子会社を吸収合併する場合
親会社が、子会社の発行済み株式の全部を保有している場合に、
親会社が子会社を吸収合併する時は、無対価吸収合併となります。
この場合、
● 子会社の株主=合併存続会社
となります。
合併により資産を承継する者も、対価を支払う者も同一人であるため、対価を交付する意味がありません。
要するに、子会社株式が子会社の資産に代わるだけのことです。
会社法でもこの合併は、強制的に無対価とされています。
100%子会社同士の合併の場合
例えば、
親会社が、子会社Aと子会社Bの発行済み株式の全部を保有していた場合に、
子会社AとBが合併する場合、無対価吸収合併となります。
この場合、
対価を受け取る株主 = 対価を支払株主
となります。
合併の対価を交付する者と、合併の対価を受ける者は、同じ親会社であるため、結局対価を交付する意味がありません。
対価を交付するかどうかは任意となっていますが、特に資本関係が変わるわけでもなく、対価の交付をしてもしなくても結果は同じため、無対価吸収合併とされます。
債務超過会社と合併をする場合
債務超過の会社は「債務総額が資産総額を上回ってしまっている状態」であり、
すべての資産を手放しても債務をまかないきれないため、倒産してしまう可能性が
とても高い状態であります。
こんな会社は、一般的には価値がなく、会社の株式の価値がないと判断されます。
このような債務超過の会社を合併する場合は、
その会社の価値がない = 無対価
とされます。
そもそも、債務超過となっている会社をわざわざ合併する必要があるのか?
といった疑問も出てきますが、特にグループ内容の子会社や関係会社を救済する必要があったり、合併後に事業整理したりと、戦略的に合併させる場合もあります。
このような場合、無対価で合併処理できるのは都合がよいことも多く、組織再編のスキームとして使われることもあります。
まとめ
今回は、
無対価吸収合併とはなにか?と、3種類ある無対価吸収合併の内容を解説しました。
無対価吸収合併は、
① 親会社が100%子会社を吸収合併する場合
② 100%子会社同士の合併の場合
③ 債務超過会社と合併をする場合
3つの種類があることがわかりました。
特に、100%子会社に関する合併といった組織再編は、頻繁に発生する案件です。
その場合の対価は、無対価であるということは、最低限押さえておくべきことです。
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