法人税や地方税には、それぞれに中間申告があります。
中間申告とは、「税金の前払い制度」のことです。
この中間申告ですが、2020年度の中間申告で注意しなければならない点を解説します。
そもそも中間申告とは
中間申告とは、「税金の前払い制度」です。
年の途中で税金を前払いし、期の決算が確定した段階で、不足の部分を支払って精算する
このような制度です。
この中間申告は、2つの種類があります。
● 予定申告
● 仮決算による申告
なお、中間申告は、
「事業年度開始の日以後6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内」
に納税が必要です。
例えば、3月決算の場合は、11月末ということになります。
予定申告とは
前事業年度の決算時に納付した法人税額をベース、中間納付額を計算して申告納付します。
以下の算式で、中間納付額が計算されます。
中間納付額 = 前事業年度の確定法人税額 ÷ 前事業年度の月数 ×6
● 簡単に言えば、前事業年度の法人税の2分の1の額が、中間納付額となります。
● 中間納付額が10万円以下であれば、申告・納税は不要です。
● 納付だけすれば、申告もしたことになる(=申告しなくてよい、申告したとみなされる)
この予定申告ですが、法人の99%が、この予定申告を選択しているとのことです。
仮決算による申告
仮決算による申告とは、事業年度開始の日以後6ヵ月間を1事業年度とみなし、納付すべき法人税額を計算して申告納付するものです。
つまり通常の決算と同じように、税金計算をして決算書や法人税の申告書を作成する必要があります。
この仮決算による申告は、
● 期末決算と同じ作業を、中間期にも行う必要があるため、手間がかかる
● 仮決算による中間申告税額が、前事業年度の確定法人税額の12分の6を超える場合には、仮決算による中間申告を提出できない
といった特徴があります。
この予定申告ですが、直近では、法人の1%程度が、仮決算による申告を選択しているとのことです。
ということは、ほとんどの会社は、仮決算による申告はしていません。
(作業が煩雑になりますので・・・)
ただし、
仮決算で計算した税額 < 予定申告の税額(前年の2分の1)
このような場合、資金繰り・資金流出の観点から、仮決算による申告を選ぶ場合もあります。
業績が大きく悪化し、
できるだけ資金を流出させたくない場合は、
仮決算での申告を選ぶこともあります。
ただし、ほとんどの会社は、仮決算による申告をしたことがないと思いますので、早め早めの準備が必要だと思います。
仮決算による申告の注意点
仮決算による申告は、以下の注意点があります。
●2020年度からは、決算書や勘定科目内訳明細も、電子申告で添付しなければならない
(資本金1億円超の会社が、強制となっています)
⇒決算書、勘定科目内訳明細も電子データを作って、電子申告しなければなりません。至急、この電子申告対応が必要です。
●前事業年度の確定法人税額の12分の6を超える場合には、仮決算による中間申告を提出できないことになっているが、事業税は提出先ごとにこれを判断しなければならない。
⇒例えば、前年度の事業税が、
・東京都へ納付 100(予定納税額は100×6÷12=50)
・大阪府へ納付 80(予定納税額は80×6÷12=40)
だった場合で、
仮決算による事業税が、
・東京都 40
・大阪府 45
と計算されると、
大阪府は、前事業年度の税額80の12分の6を超えているため、仮決算による中間申告ができないことになります。
このように、仮決算による中間申告は、実務上作業が煩雑になる可能性があるので注意が必要です。
まとめ
法人税の中間申告は、
●予定申告
●仮決算による申告
があり、全法人のほぼ99%は、予定申告を選択しています。
さらに仮決算による申告は、
・2020年から大法人は、決算書や勘定科目内訳明細書も電子申告しなければならない
・前事業年度の確定税額の12分の6を超える場合には、仮決算による申告はできないが、事業税は提出先ごとにこれを判断する必要がある
など作業時間がかかることが想定されます。
注意点を認識して、法人税中間納付は、「予定申告」か「仮決算による申告」かを検討する必要があります。
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