減価償却方法の変更 最近の動向と税務の扱い

会計・税務

ここ数年、IFRSへの移行準備等の理由から減価償却方法の変更を行っている会社が多くあります。

最近は、IFRSへの移行準備に限らず、様々な理由からこの減価償却方法の変更をしています。

今回は、ここ最近の変更理由を確認してみたいと思います。

定率法から定額法へ変更する理由

定率法から定額法へ変更する理由を確認していきます。

● 中期経営計画における設備投資計画策定をきっかけに、有形固定資産の使用状況を調査した結果、有形固定資産の使用実態に合わせて減価償却の方法を変更

● 今まで固定資産は、ほとんどリースによる調達としていたが、自社で購入する方針に変更したことに合わせて、減価償却の方法を見直した

● 親会社との会計方針を統一するために減価償却の方法を変更

● 年間の人員採用計画・設備計画を変更したことを契機に、減価償却の方法を見直した

● 物流センターが本格稼働し、当社店舗の有形固定資産の使用状況及び減価償却方法について再検討した結果、修繕費などの維持管理費用が平準的に発生していることが判明したことにより、減価償却の方法を変更

直近では、このような理由により、減価償却の方法の見直しをしているようです。

● 会計方針の変更
 会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更
 減価償却方法の変更

の内容で検索をすると、各社の減価償却方法の変更理由がわかります。

直近では、
中期経営計画の策定をきっかけに設備投資計画を検討したこと

この理由による減価償却方法の変更が多くありました。

なんの理由もなく、減価償却の方法を変更しても、
利益操作ともみられ、監査法人も了承しないでしょう。

経理の現場で、
実態に合わせて減価償却方法の変更が必要だと認識していても、変更にはそれなりの理由が必要なため、すぐに対応できません。

例えば3年に1回見直しするような、中期経営計画の策定は、減価償却方法を変更するチャンスなのかもしれませんね。

定額法から定率法へ変更する理由

この、定額法から定率法への変更は、直近では事例がありませんでした。

正直なところ、
経理の現場では、将来のIFRS導入も考えると、定率法へ変更するといったことは避けたいという思いもあるではないでしょうか。

今後も、定額法から定率法への変更はあまりなさそうです。

減価償却の方法を変更したことによる影響

減価償却の方法を定率法から定額法へ変更したことにより、減価償却費が減少し、結果利益が増加することも考えらえられます。

特に、機械装置が多い企業は、
定率法か定額法に切り替えすると、新しい機械装置ほど計上する減価償却費が減少するため、利益増の影響となりますね。

直近の事例では、結果的に利益増となった企業が多かったようです。

減価償却方法の変更によって、損益インパクトも大きくなる可能性がありますので、
このあたりは、特に事前の影響度も調査し、監査法人含め関係者への事前ネゴが必要となります。

さらに税務の扱いは?

税務で減価償却の方法を変更しようとするときは、
原則として、新たな償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日まで
償却方法を変更しようとする理由などを記載した「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を所轄税務署長に提出して、承認をもらう必要があります。

会計上は減価償却方法の変更したけど、税務の方はなにもしていなかった・・・
ということにならないようにしましょう。

注意点としては、

前回の選択又は変更から3年経過してない場合には、特別な理由がない限り、変更の承認申請は、却下されることになります。

当たり前ですが、
毎年減価償却方法の変更によって、税額を調整することがないよう、縛りが設けられています。

減価償却方法の変更をするときは、
● 事業年度開始の日の前日までに申請書を提出する
● 前回の選択、変更から3年経過していないと変更を受け付けてくれない
この2つは抑えておきましょう。

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