会社で購入したマスク購入費用の経理処理は?【使用目的別に処理方法を解説】

会計・税務

コロナ禍の影響により、会社でマスクを大量に購入していますが、この経理処理ってどうすればよいでしょうか?

当社でもスタッフから質問される、マスク購入経費の経理処理について経理課長が解説します。

☞マスク購入経費の経理処理で、確認する論点

・マスクの購入目的の確認

・マスク購入経費の勘定科目の確認

・経理処理の注意点を確認

マスク購入経費の経理処理の方法で迷ってる方は、この記事を参考にしてもらえればと思います。

マスク購入目的を確認する

         目的
1.仕事(工場での商品製造のため)
2.仕事(社員のコロナ感染防止のため)
3.来店客へ配布
4.取引先へ配布
5.自治体等への寄付
6.用途未定だが大量購入

このような目的で、会社でマスクを購入することが多いのではないでしょうか

マスク購入経費の勘定科目を確認

        目的        勘定科目
1.仕事(工場での商品製造のため)消耗品費
2.仕事(社員のコロナ感染防止のため)福利厚生費(消耗品費)
3.来店客へ配布販売促進費(消耗品費)
4.取引先へ配布交際費または寄付金(条件により消耗品費等)
5.自治体等への寄付寄付金
6.大量購入(未使用)消耗品費等

経理処理の注意点

ここでは、マスク購入目的別に経理処理の注意点を確認していきます。

仕事(工場での商品製造のため)=消耗品

コロナ禍に関わらず、定期的に発生するものであるため今まで通りの処理で問題ありません。

なお、法人税や消費税の処理は以下の通りです。

  • 法人税=損金算入
  • 消費税=課税仕入
  • 消費税=仕入税額控除の個別対応方式の用途区分は「課税売上対応」

仕事(社員と家族のコロナ感染防止のため)=福利厚生費(消耗品費)

今回のコロナ禍で社員やその家族用にマスクを大量購入された会社も多いかと思いますが、その際は福利厚生費で処理することが多いかと思います。(消耗品費でも可)

なお、法人税や消費税の処理は以下の通りです。

  • 法人税=損金算入
  • 消費税=課税仕入
  • 消費税=仕入税額控除の個別対応方式の用途区分は、「課税売上対応」と「共通対応」(注)

(注)営業、製造部門の従業員と総務や経理といった管理部門の従業員の使用割合を合理的に区分できれば、営業、製造部門の従業員の分は「課税売上対応」、管理部門の従業員の分は「共通対応」に区分することができます。

(例えば、人数割とかで「課税売上対応」と「共通対応」に区分するなど)

 実務では総務部が一括購入して、経費負担部門も総務部といったことになっていることが多いと思われますが、その際は「共通対応」にて処理します。

来店客へ配布 =販売促進費(消耗品費)

来客が多い会社、小売業など来店客にマスクを配布するような場合は、営業活動に必要な費用ですので、販売促進費で処理することが多いかと思います。(消耗品費でも可)

なお、法人税や消費税の処理は以下の通りです。

  • 法人税=損金算入
  • 消費税=課税仕入
  • 消費税=仕入税額控除の個別対応方式の用途区分は、「課税売上対応」(基本営業活動に係るものであるため)

取引先へ配布 =交際費または寄付金(条件により消耗品費等)

重要な取引先に優先して、マスクを送るなどした場合は交際費にしておくことが無難だと思われます。(状況によっては寄付金)

なお、取引先において業務上マスクが不足しており、業務を維持できず自社のビジネスにも支障をきたすような場合(商品の納品をしてもらえない等)にマスクを配布するといった場合は、別の費用(消耗品費等)で計上することも可能です。

詳細は、

「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」の問 3.《企業がマスクを取引先等に無償提供した場合の取扱い》

を参照してください。

なお、法人税や消費税の処理は以下の通りです。

  • 法人税=交際費扱い。場合によっては損金算入可
  • 消費税=課税仕入
  • 消費税=仕入税額控除の個別対応方式の用途区分は、「課税売上対応」(基本営業活動に係るものであるため)

自治体等への寄付=寄付金

内容は寄付ですので、勘定科目は寄付金を使用します。ただし寄付する先によって法人税の扱いが異なるため注意が必要です。

法人税や消費税の処理は以下の通りです。

  • 法人税=国や地方自治体、日本赤十字などへ寄付 →損金算入
  • 法人税=その他寄付 →損金算入限度あり
  • 消費税=課税仕入
  • 消費税=仕入税額控除の個別対応方式の用途区分は、「共通対応」

大量購入(未使用)=消耗品等

今後の第2波のことを考え、とりあえず大量に備蓄しておくといった可能性もあります。この場合国税庁が示している質疑応答事例「非常用食料品の取り扱い」に従うと、消耗品費といった費用で処理できる可能性があります。

(購入目的次第では、交際費や寄付金で計上することを検討する必要があります)

法人税や消費税の処理は以下の通りです。

  • 法人税=損金算入(目的次第では交際費や寄付金に該当する可能性あり)
  • 消費税=課税仕入
  • 消費税=仕入税額控除の個別対応方式の用途区分は、目的次第で「課税売上対応」か「共通対応」の選択が必要

以上がマスク購入経費に対する経理処理となります。

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今後も、マスクを備蓄しておくといった会社も増えるかと思いますが、その際はご紹介した経理処理方法について参考にしてもらえればと思います。

※税務に関する案件は、個別要因及び認識や課税当局への主張の仕方により、税務的なリスクを負う可能性もありますので、当サイト記事は参考情報としてください。


実務上のご判断に迷う際には、改めて専門家のアドバイスのもと経理処理を行うようにして下さい。

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