GoToトラベル 会計処理の論点まとめ【出張で利用した場合の問題】

会計・税務

GoToトラベル事業が開始されて、かなりの時間が経過しました。

その中で、会社の出張でGoToトラベルを使うのはどうなんだ!?
といった疑問を呈されたこともあり、

11月6日以降の旅行商品販売分から、

ビジネス出張を目的とした商品は、
GoToトラベルが使えないという制限が課されることとなりました。

具体的には、

● 法人向け旅行商品(出張パック)
 法人カード決済による旅行商品

など、法人利用を前提とした旅行商品は GoToトラベルの対象外となります。

また、法人の出張手配を目的とした予約サイトにおける予約も、
GoToトラベルの割引対象外です。

ただし、
実態として、個人が出張時の旅費宿泊費を立替精算するような場合は、
ビジネス出張目的なのかどうか判断できませんね。

これに対して、

 一応、オンライン予約サイトや旅行業者でも、ビジネス出張は対象外となります。

 しかし、予約時やチェックイン時にビジネス出張かどうかを判断することは難しいことから、確認作業などは行われないとされているようです。

まあ、そうでしょうね。
判断が難しいでしょうし、そのためだけに無駄にコストをかけるのもあまり意味がありません。

私自身、出張・プライベート問わず、ホテル予約は一休.comで済ませていますし、
実際のところは判断が難しいですね。

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ということで、出張でGoToを使ってしまう場合もまだありそうですので、
経理としては、会計処理はどうすべきかルール決めはしておいた方がよさそうです。

GoToトラベル 会計処理の論点

GoToトラベルによる出張で、会計処理で論点となりそうなものが2つあります。

① GoToによる補助分を含めて経理処理するのか?

② GoToの補助分を含めて精算した場合、その補助分は従業員の給与課税となるか?

GoToによる補助分を含めて経理処理するのか?

基本は、補助分を含めて処理する必要がありそうです。
しかし実務上、それができない場合もあります。

実際にウチの会社での事例として、
GoToトラベルの補助分を除いた残額の領収書で、経費精算する場面もありました。

領収書に、GoToトラベルの補助分の記載がないと、そもそも補助分を含めて経理処理できないですよね。

これについては記事の後半でも解説します。

②GoToの補助分を含めて精算した場合、その補助分は従業員の給与課税となるか?

補助分は結果的に従業員がもらえるので、これは給与なんじゃないか?
という論点も出てきます。

GoTo補助分の会計処理について

GoTo補助分の会計処理については、設例を用いて解説してみます。

例えば、従業員が出張旅費を立替精算した場合で、

 出張旅費 33,000円(消費税3,000円)
● 補助金 11,550円(補助35%) 
 従業員の支払額 21,450円

といった場合、

3つの処理方法が考えられます。

① GoTo補助金を含めて精算する方法

旅費交通費  30,000/現金預金 33,000
仮払消費税等  3,000/

② GoTo補助金を含めないで精算する方法

旅費交通費  30,000/現金預金 21,450
仮払消費税等  3,000/雑収入  11,550(雑収入は消費税不課税)

③ GoTo補助金を含めないで精算し、補助金を認識しない方法

旅費交通費  19,500/現金預金 21,450
仮払消費税等  1,950/

今のところ、この3つの処理が考えられます。

冒頭でも解説しましたが、実務上は、
③ GoTo補助金を含めないで精算し、補助金を認識しない方法
を選択せざるを得ないかもしれません。

基本的に旅費の精算は、
旅行会社やホテル会社の領収書を元に精算されます。

この領収書は、実費(GoTo補助分控除後)で発行されることが多く、結果的に、
③ GoTo補助金を含めないで精算し、補助金を認識しない方法
で処理しなければならないと思われます。

インターネット予約による旅行会社の領収書等では、
補助分も記載されて、補助金を含めた総合計の領収書が発行されていることもあるようです。

この場合は、
①のGoTo補助金を含めて精算する方法
②のGoTo補助金を含めないで精算する方法
にて、精算することも可能です。

特に、
①のGoTo補助金を含めて精算する方法にて、補助金も含めて精算すると、
従業員は立替払いしていない(実際にキャッシュを払っていない)分まで貰えることになりますね。

これでは、不公平感があるということで、たいていの会社では、
①のGoTo補助金を含めて精算する方法
は採用されないだろうと思われます。

しかし、
①のGoTo補助金を含めて精算する方法を採用することになった場合は、
従業員が実際にキャッシュを立替払いしていない補助金分について、

給与課税が必要なんじゃないか?

といった論点も出てきます。

実際に従業員が支払をしていない分を、会社側が支払うのですから、
実質給与じゃないか?と思われても仕方ないですね。

ということで、次にこの給与課税の問題を確認していきます。

GoToの補助分は給与課税すべきか?

補助分を含めて精算する方法を採用することになった場合、
従業員は立替払いしていない(実際にキャッシュを払っていない)補助金分も、現金で貰えるわけですから、給与と見られても仕方ないです。

これについて、給与課税が必要ではないか?
という論点を確認します。

まず、
所得税法上、一定の出張旅費は非課税とされています。

所得税法 第9条1項4号(非課税所得
給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの

所得税法では、通常必要であると認められる出張旅費は、非課税とされています。

では、
このGoToの補助金は、「通常必要であると認められるもの」
に該当するのでしょうか?

これについては、
 社内の旅費規程があればそれに準ずる
といったことになりそうです。

GoToの補助金の額が、旅費規程で定められた旅費の上限などから大きく外れるようであれば、給与と認められるかもしれません。

実際のところ、
GoToトラベルは、国内だけのものですし、出張で多額の旅費を使うこと自体ないでしょうから、そもそもの補助金の額自体も多額になるとは思えません。

このため、
ほとんどのGoToの補助金の額は、給与課税されない
と考えて良さそうです。

そもそもですが、
通常必要と認められない、豪遊のような出張旅費は補助金含め、全額給与課税されるでしょう。

まとめ

GoToトラベルによる出張の会計処理は、

① GoToによる補助分を含めて精算する方法

② GoTo補助金を含めないで精算する方法

③ GoTo補助金を含めないで精算し、補助金を認識しない方法

この3つがあり、このどれかを選択して処理することになりそうです。

さらに、GoToによる補助分を含めて精算した場合、

 補助金分が従業員に現金で支給されるが、それは給与課税にならない可能性が高い

といえます。
(そもそも、出張自体が豪遊となるような通常の範囲を超える金額だと、給与課税の可能性が高くなりますが・・・)

会計処理的には、自社で取り決めをしておけば大きな問題にはならなそうです。

ちなみに、私の所属する会社では、
 基本、GoToの補助金を控除した実費で旅費精算
としています。

このように決めておけば、トラブルにもならないでしょう。

補足:消費税の扱い

最後に消費税に関する扱いですが、
GoTo補助金を含めないで精算し、補助金を認識しない方法で旅費精算すると、仮払消費税等の金額が少なくなってしまいます。

消費税の仕入れ税額控除の観点から、納税的には不利になります。

ただし、GoToトラベルは一時的な制度ですので、金額的にも影響がそんな大きくなければ気にする必要がないと思います。

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今回は、GoToトラベルに関する給与課税の話題でしたが、
給与課税については、なぜか経理が課税に関する判断する場合もあるのではないでしょうか?

給与計算をする人事労務のメンバーが詳しいはずですが、
実態は経理担当が、人事労務から質問を受けることが多々あります。

税といったら経理、みたいな感じの会社も多いでしょうから、
経理の方は法人税だけでなく、給与課税(源泉税)も勉強しておきましょう。

ちなみに、この書籍はウチの経理の書棚に置いてます。

また、GoToトラベル関連で、面白い本も見つけました。

確かに、初めてGoToトラベル使ったとき、
地域共通クーポンどうやって使うの?って思いましたね。

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