毎回発生している、分配可能額を超えた配当(違法配当)に注意

会計・税務

2020年7月に、東証第1部のリソー教育・シンニッタンの2社で、分配可能額を超えた配当があったことについて、東証TDnetで適時開示がありました。

IS課長
IS課長

分配可能額を超えた配当について、
ほぼ毎年どこかの会社で発生しています。
要注意です。

分配可能額を超えた配当は、会社法の規定から外れた「違法配当」となります。

上場企業でも、毎回発生している案件なので、配当時は必ずチェックする必要があります。

違法配当となった原因

違法配当となった原因は、
● 社内のチェック機能が不十分であったこと
● 実務担当者の知識が不足していたこと
● 分配可能額の計算がとても分かりにくい

といったことが多いようです。

また違法配当は、
● 監査人からの指摘
● 配当後の、第1四半期決算の準備の過程で気づく

という理由で発覚するようです。

IS課長
IS課長

私も業務で配当案を作ってますので、注意しなくては!

分配可能額とは

分配可能額を超えて配当した場合、違法配当となるわけですが、分配可能額とはなんでしょうか。

分配可能額とは,株主に対して剰余金の配当を行う際の総額について、会社法で定められている上限のことをいいます。

要は、
会社法で決められている配当金総額の上限=分配可能額
ということです。

分配可能の制限を設ける理由

配当額を制限する理由ですが、

● 会社による過剰な配当を抑制
● 債権者保護等を図る
です。

過剰に配当を支払うと、会社にお金がなくなってしまいます。

そうすると、取引先(債権者)に支払うお金もなくなり、取引先(債権者)が損をしてしまいます。

取引先(債権者)が損をするのを防ぐために、配当金の支払い額に制限を設けているのです。

分配可能額の計算

分配可能額の計算は、ややこしくて、かなり複雑です。

分配可能額の計算は、
まず「剰余金」の額を算出し(会社法446条)
それを元に「分配可能額」の算出をする(会社法461条)

という手順を踏みますが、実務担当者としてとりあえず覚えてほしいのは、

その他資本剰余金+その他利益剰余金-自己株式-その他有価証券評価差額金(マイナスの場合のみ)

この算式で、仮の分配可能額を計算してみることをおすすめします。

仮計算した分配可能額と配当総額と比較して、余裕がない場合は、会社法446条、461条に従って再計算する、
こんな流れで進めるのがよいのではないでしょうか。

IS課長
IS課長

分配可能額の計算、複雑で覚えるのは大変です

仮計算してみて、配当額が分配可能額に対してギリギリじゃないことを確認しましょう

分配可能額を超えた配当(違法配当)をしてしまった場合

会社法第462条に、剰余金の配当等に関する責任という規定があります。
具体的には、取締役等が違法配当ついて、会社に対し填補の責任を負うこととされています。

この場合、填補のために、取締役の報酬を減額するなどのことも考えられます。

上場企業ですと、開示して違法配当となった原因調査も必要となり、相当大変ですので、念のための事前チェック必須ですね!

IS課長
IS課長

配当前には「分配可能額事前チェック」を必ずしましょう!

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