税務における、固定資産の「減損」と「評価損」の扱いについて

会計・税務

会計処理上、固定資産の減損が発生することが多々あります。

しかし、税務上は基本的にこの固定資産の減損は損金として認められません。

ただし、税務上は一定の要件を満たした場合、固定資産の評価損という形で、損金計上が認められます。

今回は、

固定資産の減損の税務上の扱いと、

固定資産評価損として損金算入できる要件を確認していきます

経理歴20年以上、
現在、東証一部上場企業の経理課長が簡単解説します。

最低限、経理担当が押さえておくべき、
税務上の固定資産の評価損にポイントに絞って解説していきます。

固定資産の減損と固定資産の評価損 税務上の扱いは?

会計上で計上される固定資産の減損は、基本的に、

● 税務上は損金と認められず、
● 申告書で加算処理

となります。

ただし、固定資産の評価損という形で、税務上損金計上が認められる場合があります。

それは、

● 災害により著しく損傷した場合

● 1年以上遊休状態にある場合

● 本来の用途に使用することができないため、他の用途に使用した場合

● 所在する場所の状況が著しく変化した場合

この4つのどれかに該当する場合は、固定資産の評価損として損金計上できます。

これから、この4つの要件について詳細を確認していきます。

災害により著しく損傷した場合

固定資産が、災害により著しく損傷した場合には、その損傷により価値が下落した分について、評価損を計上できます。

日本は、台風や地震などの災害が多い国です。

台風や地震により、固定資産が毀損してしまった場合には、価値下落分まで評価損として計上します。

大抵の場合、災害で固定資産が毀損してしまった場合は、そもそも固定資産が使用できなくなるので、固定資産の簿価を備忘価額1円まで評価損計上することになると思われます。

また、固定資産が使用できなくなる場合は、廃棄となりますので、廃棄損として計上される場合も多くあります。

ちなみに、土地の場合は、「陥没、隆起、地盤沈下等」により時価が下落した場合、これも評価損として計上できることも認識しておきましょう。

1年以上遊休状態にある場合

基本的に、遊休資産は税務上、減価償却することが認められていません。
※会計上は、遊休資産は営業外費用として減価償却する必要があります。

ただし、1年以上という長期にわたる遊休資産は、取得のときから1年以上事業の用に供されないために、固定資産の価額が低下した時、評価損として損金計上ができます。

遊休状態にある場合でも、物理的にも経済的にも価値の下落が進んでいるので、その価値の下落部分については評価損として損金計上ができるということです。

なお、稼働を休止している遊休資産であっても、その休止期間中に必要な維持補修が行われており、いつでも稼動し得る状態にあるものについて、減価償却をすることができるため、遊休資産であっても、実態はどうなっているかを確認しておく必要があります。

本来の用途に使用することができないため、他の用途に使用した場合

固定資産は、そもそも何かしらの用途に応じて設計されています。

具体例を用いて説明してみます。
例えば、とある製品Aを製造するための機械があったとします。

● 製品Aの製造が中止
● 製品Aを製造する機械も使わない

となってしまった場合で、

● もったいないので、他の製品製造のための用途に転用
● 転用の際、使わない無駄な機能を減らした

こんな場合は、この無駄な機能を減らした部分の損失について、評価損の計上ができることになります。

実務においては、毎回発生するような案件ではないですが、本来の用途から他の用途に変更する場合、固定資産の価値が下落するようなことがあれば、損金計上できるということを覚えておきましょう。

所在する場所の状況が著しく変化した場合

所在する場所の状況が著しく変化するとはどういうことでしょうか?

よくある例としては土地の状況が変化するといった場合です。

例えば、

● 地盤沈下が起きて土地の価格が下落した
● 土壌汚染が発生して土地の価格が下落した
● 道路工事により交通の流れが変わってしまい、商業用地としての価値が下落した

このような土地の状況変化による価値の下落については、価値が下落した分を評価損として損金計上できます。

気を付けておきたいのは、状況が著しく変化した場合となっています。
ちょっとした状況の変化では、評価損が認められない可能性があることには注意しておきたいところです。

固定資産の評価損に関する注意点

税務上、固定資産の評価損は損金算入ができると解説しました。

しかし、以下のような場合、評価損は損金算入できないことに注意してください。

① 過度の使用又は修理の不十分等により、その固定資産が著しく損耗している場合

② 当該固定資産について償却を行わなかったため償却不足額が生じていること

③ 当該固定資産の取得価額が、その取得の時における事情等により他の同種の資産の価額に比して高いこと

④ 機械及び装置が急速な進歩等により旧式化していること

このような理由により、固定資産の価値が下落した場合には、評価損の計上が認められないことに注意が必要です。

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