今回は、経理部員から良く質問される、
消費税の輸出免税について解説します。

輸出免税の取引はどんなものがありますか?
消費税の計算において、
輸出免税に該当する取引なのかどうか判断する必要があります。
この輸出免税ですが、判断がやや複雑な面もありますので、
どんな取引が該当するのか、具体事例を用いて解説します。

ここでは、
輸出免税の具体的な取引内容を解説していきます。
経理歴20年以上、現在東証一部上場企業の経理課長が、
間違いやすい経理実務の事例を解説していきます。
輸出免税とは?
まず、輸出免税とは何かですが、
国外で消費されるものは課税しない = 輸出免税
となります。
輸出免税は消費税がかかりません。
輸出免税は、本来であれば消費税がかかる取引ですが、
● 消費税を免除する
● 0%の消費税を課税する
という意味をもっています。
ここからは、
「国外で消費されるもの=輸出免税」
の具体例を見ていきましょう。
国内からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付
一般的に販売される商品を輸出する場合です。
輸出取引ですから、消費税は免税となります。
外国貨物の譲渡又は貸付
外国貨物とは、関税法に規定する外国貨物のことをいいます。
輸出の許可を受けた貨物だったり、
外国から日本に到着した貨物で輸入許可される前の貨物です。
これを販売したり貸付した場合は、輸出免税となります。
外国貨物に係る役務の提供
外国貨物に係る役務の提供とは、
外国貨物の荷役、運送、保管などをする場合に係る費用です。
これらの費用は、輸出免税として消費税が免除されます。
国内と国外との間の旅客又は貨物の輸送、通信
例えば、日本から海外へ行く飛行機代※はこれに該当します。
貨物を輸送する船代も該当します。
※国内の航空会社を使っても、国際線運賃は免税です。
外航船舶等の譲渡、貸付又は修理で船舶運航事業者等に対して行われるもの
そもそも該当船舶等とは、日本と外国の間を行き来する船や航空機です。
日本と海外で、
船や航空機を使って商品を運ぶ業者は、船舶運航事業者等に該当します。
この船舶運航事業者が、
外航船舶に該当する船や航空機を譲渡や貸付、修理などをした場合、その取引は輸出免税となります。
外航船舶等に係る役務の提供で、船舶運航事業者等に対して行われるもの
例えば、外航船舶等の清掃費用などの役務の提供を言います。
(船舶運航事業者に対して行われるものに限ります。)
このような役務の提供サービスは、消費税が免税となります。
非居住者に対する無形固定資産等の譲渡又は貸付
ここでいう非居住者は、ざっくりいうと、
● 日本に住所又は居所を有しない人
● 日本に主たる事務所を有しない法人
となります。
消費税法上、
株式会社などの日本法人の海外支店等は、非居住者と扱われることに注意です。
無形固定資産等の譲渡又は貸付ですが、
例えば、この非居住者が、特許権や著作権といった無形資産を譲渡したり貸付した場合、消費税は免税となります。
非居住者に対する役務提供で、国内において直接便益を享受しないもの
例えば、
外国の会社(非居住者)が日本の雑誌に広告を掲載する場合、
この広告料は免税取引となり、消費税がかかりません。
逆に、
「外国人旅行客(非居住者)の国内宿泊や飲食」といったものは、
日本で直接便益を享受するので、消費税がかかります。
輸出物品販売場(免税ショップ)での販売
外国人旅行者などが土産品として物品を購入し、
自分の国へ持ち帰る場合は、輸出と同じとされています。
このため、
外国人旅行者の免税ショップでの販売については、消費税は免税となります。
まとめ

消費税の輸出免税となる取引は、意外と複雑です。
実務で免税取引を判定するような場合、
基本的に、上記の取引が輸出免税となることを理解して、経理処理を進めましょう。

消費税の輸出免税の判断に迷う場合は、
この記事を読み直してください。
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