消費税の非課税取引とは【具体的な取引を解説】

会計・税務

今回は、経理部員から良く質問される、
消費税の非課税取引について解説します。

消費税がかからない取引ってどういう取引ですか?

経理実務では、
「消費税がかかる、かからない」
を判断しなければならないことが良くあります。

その判断をするためにも、
消費税がかからない「非課税取引」
というものを理解する必要があります。

IS課長
IS課長

ここでは、消費税がかからない非課税取引
について解説していきます。

経理歴20年以上、現在東証一部上場企業の経理課長が、
間違いやすい経理実務の事例を解説していきます。

消費税の非課税取引とは?

消費税の非課税取引とは、

消費税の課税対象ではあるものの、
政策あえて課税しない取引
をいいます。

あえて課税しない取引は、種類が2つあります。

● 消費者に負担を求める税として、課税対象としてなじまないもの

● 社会政策的な配慮から、課税されないもの

消費税がかからない非課税取引には、種類が2つあることを覚えましょう。

課税対象としてなじまないもの

消費に負担を求める税として、
課税対象としてなじまないものとは、どんな取引でしょうか?

取引の具体例を解説します。

① 土地等の譲渡及び貸付

消費税は、消費したものに関して課される税金です。
土地は、消費や摩耗はしないので、土地の貸し借りは非課税取引として課税されません。

注意点として、
土地の貸付期間が1ヵ月未満の短期間である場合は、非課税となりません。
駐車場などの施設を貸付する場合も、非課税となりません。

② 有価証券等及び支払手段(紙幣等)の譲渡

有価証券とは、国債、地方債、社債、株式などが該当します。
支払手段とは、銀行券、硬貨、小切手、為替手形や約束手形などが該当します。

なお、収集品である紙幣やコインなどは、非課税取引には該当しません。

③ 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等

国債、社債、預貯金などの利子、信用の保証料、保険料がこれに該当します。

④ 郵便切手類、物品切手等の譲渡

郵便切手類とは、郵便局やコンビニで買える切手や印紙のことです。
物品切手等とは、プリペイドカード、さまざまな商品券や図書カードのことです。

ここで注意が必要なのは、
購入する場所で、課税と非課税の判断が分かれます。
以下の判断するための一覧表をご確認ください。

⑤ 国等が行う一定の事務に係る役務の提供

法令に基づいて徴収される手数料等は、非課税取引です。
例えば、役所等で取り寄せた証明書や、登記の手数料等がこれに該当します。

⑥ 外国為替業務に係る役務の提供

外国為替や国際郵便為替などの取引に係る手数料などが、これに該当します。

社会政策的な配慮から、課税されないもの

消費に負担を求める税として、
社会政策的な配慮から、課税されないものとは、どんな取引でしょうか?

取引の具体例を解説します。

① 社会保険医療の給付

健康保険が適用になる医療費は、非課税となります。

注意点として、
健康保険が適用とならない、自由診療に係る医療費は、課税となります。
例として、
美容整形、差額ベッド代、予防注射、市販薬等は、課税となります。

② 介護保険サービスの提供

介護保険法に基づく介護保険サービスがこれに当たります。
よくある例としては、
居宅・施設・地域密着型のサービスが該当します。

③ 社会福祉事業等によるサービスの提供

社会福祉法により定められた社会福祉事業などのサービスが、これに該当します。

④ 医師・助産師等による助産に関するサービスの提供

助産に係る費用は、非課税です。
医師が妊娠の有無を判断するための検査なども、このサービスの提供に含まれます。

⑤ 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供

人が亡くなって、火葬や埋葬するときの費用は非課税です。
注意しなければならないのは、葬儀代は非課税とならないことです。
(あくまで、火葬・埋葬の費用だけ)

⑥ 身体障碍者用物品の譲渡及び貸付

身体障碍者用物品とは、義肢や車いすなどのことをいいます。
基本的には、障害者の生活に必要な物品は非課税となります。

⑦ 学校教育

学校の入学金、授業料、在学証明手数料等がこれに該当します。

⑧ 教科用図書の譲渡

学校で使用する教科書などがこれに該当します。

⑨ 住宅の貸付

住宅の貸付は、少々判断が難しいです。
住宅の利用目的によって課税か非課税かを判断します。

以下の点に注意して、課税か非課税を判断してください。

● 居住用家賃は、社会政策的な配慮から非課税
(一戸建ての住宅、マンション、アパート、社宅や寮など)

● 事業用家賃は課税
(住宅兼店舗の場合は、面積比で課税と非課税を分けます)

● 社宅と駐車場が一緒になっている場合
  ・一般的には、課税
  ・住宅に付随して契約上同一となっている場合は、非課税

まとめ

経理を始めたばかりの方は、
消費税がかからない非課税取引の判断、迷うことが多いと思います。

特に業務では、

● 土地の譲渡、貸付
● 郵便切手類、物品切手等の譲渡
● 住宅の貸付

については、判断に迷う箇所が多く、注意が必要です。

IS課長
IS課長

日々の経理処理では、消費税の課税・非課税の判断を行わなければいけません。
判断に迷う場合は、この記事を読み直してください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました